教育・研修
教育・研修
看護のレベルを向上させ患者個別の看護が適切に行なわれるためには、豊かな人間性と看護師のキャリア開発こそ大切であるという考えのもとに、看護教育委員会を設置しています。そこでは、一貫性のある系統的な看護継続教育を目指し、独自のキャリアラダーに沿った講演・講義・研究発表会などを開催して、看護の知識・技術・態度の向上に努めています。
看護部のめざす看護師像
対象のセルフケア能力を生かし、思いやりのある看護を提供するために、臨床実践能力の向上をめざし、自己研鑽に取り組む人材を育成します。
求められる能力
- 専門職業人として
- 患者の生命や人権を尊重した対応ができる能力
- 個々のニーズに応じて、安全で安心できる看護サービスを提供できる能力
- 看護の専門的知識、技術を有し、根拠を持った看護ケアを実践できる能力
- 主体的に学び、研究的視点を持ち、新しい看護を創造できる能力
- 後輩の指導・育成ができる能力
- 組織人として
- 病院の理念・方針を理解し、組織の目標達成のための行動ができる能力
- 患者・家族・医療チームのメンバーと良い人間関係を築いていく能力
- よい組織づくりをめざし、自ら変革を推進していくことのできる能力
- 病院の職員として
- 東北公済病院の社会的役割を理解し、地域貢献できる能力
- 医療に従事する多様な専門職と協働し、チーム医療を推進する能力
- 医療経済の動向を理解し、病院の経営方針に参画する能力
教育目標
対象のセルフケア能力を生かし、思いやりのある看護を提供するために、臨床実践能力の向上をめざし、自己研鑽に取り組む人材を育成します。
看護部キャリアラダーの基本構造
キャリアラダー
看護師のキャリア開発では、個々人がチームの一員として、専門職者としての自覚をもって仕事に取り組むために、積極的に教養を身につけ専門的知識・技術の習得を促す機会を充実するようキャリアラダーを組んでいます。
新人教育プログラム
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4月
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総合オリエンテーション (入職後5日間)
病院職員としての心構えや看護部の理念、教育体制、電子カルテについてなど東北公済病院の看護職員の一員として基本的なことを集合研修で学びます。
研修テーマ
・病院のビジョンと展望
・院内感染対策の基本
・安全と医療事故防止対策
・電子カルテの基本
・注射の実際
・看護実践の紹介(部署紹介)など
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test test
- ・病院に慣れるための良い機会になった
- ・同期との交流を深めながら、今後の働き方や業務について理解することができてよかった
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4月
~6月
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継続オリエンテーション (計10回)
実技をまじえながら、集合研修を行います。グループワークでは、話し合いをしながらお互いの気づきや学びを共有します。
月に1回ワールドカフェを行い、思っていることを自由に語ってもらいました。研修テーマ
・フィジカルアセスメント
・点滴管理の実際
・ME機器の取り扱い
・救急蘇生
・POS・看護診断・オレムセルフケア不足理論を用いた看護記録
・1か月の振り返り(ワールドカフェ)
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- ・同期と日々の学びを共有できることが嬉しかった
- ・実際に新人同士で注射をすることで患者さんの立場も経験することが出来、今後に活かせると思った
- ・病棟で経験することもしないことも知識を深めることができた
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5月
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POSの基本と看護診断の活用 基調講演 (全職員対象)
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6月
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技術チェック①
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7月
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オレムのセルフケア不足理論 基調講演 (全職員対象)
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POS・NANDA-I看護診断、オレムセルフケア不足理論は当院の看護の基盤となっています。
それぞれの理解が深められるよう、全職員を対象とした基調講演を毎年開催しています。
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11月
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チーム発想法(2日間)
入職後の看護実践を振り返り、体験した失敗や困難な事例を通して問題の本質を明らかにし、自身の傾向を知り今後の看護実践に役立てるための研修です。
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- ・インシデントが起こった背景だけでなく、どのような状況になるとミスが起こってしまうのかグループで話し合うことができた
- ・最初は自分の失敗を話すことに抵抗があったが、最後は楽しく話し合いができた
- ・同期と半年間の学びを共有できるよい機会になった
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11月
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パートナーシップ・マインド研修 (全職員対象)
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PNSを活かして、よりよい看護を実践していくために必要なことを学びます。
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11月
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技術チェック②
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2月
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技術チェック③
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2月
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看護過程の基本を学ぶ会
- ペーパーペイシェントを用いて、看護診断確定までの過程をオレムのセルフケア不足理論をもとに学習します。
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3月
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1年の振り返り
1年間共に頑張ってきた仲間とそれぞれが体験した心に残る場面を語り合い、今後の看護の活力につなげてもらうための研修です。
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- ・みんなの嬉しかった場面を聞いて自分も頑張ろうと思えた
- ・1年の中で嬉しかったことがこんなにたくさんあったのかと気づくことが出来、次の自信へつながった
キャリアアップ
東北公済病院では、認定看護管理者をはじめ専門看護師や認定看護師など、様々な分野を専門に活動している看護師が働いています。ここでは、それぞれの分野に関する活動について紹介いたします。
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認定看護管理者
当院では4名の認定看護管理者が活動しています。
認定看護管理者
認定看護管理制度は、多様なヘルスケアニーズを持つ個人、家族、地域住民に対し質の高い組織的看護サービスを提供することを目指しています。認定看護師の地域への派遣をコーディネートしたり、コロナウイルス感染のアウトブレイクでマンパワーが必要となった地域へのスタッフ派遣の調整などを行ってきました。また、2次医療圏での医療や看護の連携として光彩ネットワークをつくり強化しています。認定看護管理者としてのマネジメント知識を生かし、今後も地域医療に貢献していきたいと考えています。 -
専門看護師
当院では2名の感染症看護専門看護師が活動しています。
感染症看護専門看護師
感染症の専門的な知識をもとに、看護の力で様々な感染症を予防し、患者さんの苦痛を減らしたいと考えたのが資格を目指したきっかけです。1人の患者さん(個)から地域(集団)までそれぞれの対象のニーズに応じてベストな感染対策・感染予防を考え実践できるよう努めています。院内では全職員に対し平時から感染予防教育と実践に向けた教育を行ったり、地域の医療機関・福祉施設で感染対策講習の開催なども行っています。どんな感染症をもつ患者さんに対しても、これまでの生き方や考え方を尊重した看護ケアが提供できるよう、尊厳を尊重した看護の提供をスタッフと一緒に考えていきたいと思っています。
認定看護師
当院では9名の認定看護師が活動しています。
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糖尿病看護認定看護師
糖尿病教室の開催や、糖尿病神経障害がある患者さんに対するフットケア外来の運営など、療養支援を行っています。糖尿病による合併症を予防し、糖尿病があっても他の人と変わらない生活を送ることができるように支援することが大事だと考えています。治療や受診を継続していただくこと、糖尿病にならないための指導として健診の段階から介入していくことも必要だと考えています。気軽に話ができるような関係づくりを心がけています。
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認知症看護認定看護師
治療的援助を含む健康管理、認知症の発症からエンドオブライフまでの生活支援、生活・療養環境の調整、スタッフに対する相談対応や支援などの活動を行っています。認知症看護は倫理的課題が大きい分野であると言われています。その中で、患者さんの尊厳を守るということを一番大事にして関わっています。認知症の症状は疾患や病期によって異なります。その人の視点に立ち、安心して生活していくためにはどのような支援が必要か、スタッフと共に考え実践していきたいです。
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訪問看護認定看護師
訪問看護に携わり、より根拠をもったケアがしたいと思い認定看護師を志しました。宮城県では4名の訪問看護認定看護師が活動しています。
病気や障害をもった方が、住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい生活を送ることが出来るよう看護ケアの提供や地域と医療機関との橋渡し役を担っています。患者さんや家族との関わりを「生活」と「治療」の視点から考え、病棟での退院支援や退院指導に関わっています。また病院看護師、訪問看護師、地域の方々に対し訪問看護制度や役割についての講習会を開催しています。もっとたくさんの方に訪問看護について知っていただきたいと思っています。
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がん化学療法看護認定看護師
相談室におけるがん患者さんの相談対応、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)実践に伴うスタッフからの相談支援、スタッフの育成に力をいれて取り組んでいます。治療(化学療法)を受けることは大事ですが、治療を受けその人らしく生活できることはもっと大事なことだと思っています!副作用が生活に支障をきたしていないか判断する上で患者さんから丁寧に情報を引き出すことが必要です。また副作用症状への対処について、出来るか出来ないかそれだけで判断せず、どのような方法であれば生活の中に取り入れることができるのか、患者さんと対話をする中で、一緒に考えていく姿勢が求められると思います。以上のことを大切にし、日々スタッフとともにがん薬物療法を受けている方と関わっています。
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透析看護認定看護師
透析療法を受ける患者さんに、最適な透析効率を保証し安心・安全な透析療法を実践できるよう努めています。成人の8人に1人は慢性腎臓病と言われています。外来通院中の患者さんとその家族を対象に腎臓病教室を開催し、残された腎機能を守るための指導を行っています。また末期腎不全の患者さんに対しては、その人の生活に合わせた治療法が選択できるような意思決定支援や情報提供を行っています。
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手術看護認定看護師
手術室看護師は、手術中の関わりだけでなく、周手術期を意識し、術前から術後をとおして、安全で安心な手術提供を行うことが求められています。術式により起こり得る事態を予測し、手術侵襲を最小限に、迅速かつ確実に適切なケアを提供することを意識し、患者さんやスタッフと関わるようにしています。また、手術看護の実践を通して役割モデルを示すことで、スタッフの育成にも力を入れています。
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緩和ケア認定看護師
私は、根拠を持った薬剤の使用やケアを行うことで、少しでも終末期の症状を緩和し、その人らしく過ごせるように支援したいという思いで緩和ケア認定看護師を目指しました。がん治療中から看取りの時期まで、院内から症状緩和に対するコンサルテーションを受けたり、患者さんと直接関わり情緒的なサポートや治療の意思決定支援を行っています。また、各部署のカンファレンスに参加し、一緒に状態をアセスメントしケアを考えたり、事例に合わせたアプローチの方法を提案したり、勉強会を実施したりしています。その際には、日々緩和ケアに取り組んでくれるスタッフの共感疲労の軽減も心がけています。
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脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
脳卒中の後遺症のある患者さんが、残った機能を活かし自分らしい生活ができるよう支援する役割があります。高次脳機能障害は見えない障害ともいわれています。以前の様子と変わってしまったことで、家族がとまどいを感じてしまうこともあります。患者さんの状態をしっかりとアセスメントし、その人に合った環境調整、コミュニケーション、教育方法を考え実践しています。障害を持って社会に復帰する上で、家族という最小単位の社会への復帰が大切だと思っていますので、家族支援にも力を入れて取り組んでいます。
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皮膚・排泄ケア認定看護師
創傷・オストミー・失禁看護の分野でのケアの実践・相談・指導を役割としています。病棟看護師と情報共有をしながら入院患者さんのケアに取り組んでいます。また、ストーマ外来では、ストーマケアについての情報提供や精神的なサポートを行っています。WOC分野に関して気軽に相談できる窓口でありたいと思っています。