婦人科
診療方針
婦人科では、良性疾患から悪性疾患まで、手術や薬物を駆使して安全に、そして患者さんの希望を尊重しつつ治療する方針をとっています。良性腫瘍(卵巣嚢腫や子宮筋腫)の手術は可能な限り患者さんへの負担が少ない腹腔鏡下手術を適用し、子宮や卵巣の悪性腫瘍には手術・化学療法を行っているほか緩和ケアにも力を入れております。
これら婦人科疾患患者さんの多くは地域連携により登録医の皆様から紹介を受けていることから、当科の治療後には逆紹介をすることを原則にしています。
主な診療内容
良性疾患に対する腹腔鏡下手術
患者さんの手術による身体的負担を軽いものにするため、可能な限り腹腔鏡下手術を行うようにしております。腹腔鏡下手術により入院期間ばかりでなく日常生活への復帰までの期間の短縮も図れます。
自己血輸血
手術時に輸血が必要になることが予測される患者さんには、あらかじめ自己血を採取しておきます。手術による出血が多い場合、それを輸血することで、同種血(他人血)輸血が回避でき、輸血後肝炎などの副作用の心配をしなくてすみます。
緩和ケア
がん患者さんには手術やがん化学療法を受けていただくことが多く、疾患に対する治療と併行して、不安や苛立ちなどに対する心のケアが必要になります。終末期の患者さんの疼痛・栄養管理、また、患者さんを支えるご家族への情報提供やご心配の軽減なども必要です。これらを医師・看護師がチームを組んで行っております。
リンパ浮腫対策
婦人科悪性腫瘍手術では骨盤リンパ節郭清を併施することが多く、その後には下肢や下腹部のリンパ浮腫の発生がみられます。手術にともなう「やむをえない」合併症であっても術後早期のリンパマッサージやストッキング装着などで重症にならないようにすることができます。リンパ節郭清を受けた患者さんには自己マッサージの仕方をお教えします。
女性の骨盤臓器脱について(膀胱瘤・子宮脱・直腸瘤)
骨盤臓器脱とは、膀胱、子宮、直腸など骨盤の中にある臓器が下がり、膣から外に出てくることで、原因として臓器を支える骨盤底筋が弱くなっていることがあげられます。
診療実績
婦人科手術件数
手術形態 | 手術名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
腹腔鏡手術 | 子宮全摘術 | 105 | 136 | 147 |
子宮筋腫核出術 | 30 | 44 | 44 | |
卵巣、卵管腫瘍摘出術 | 203 | 183 | 202 | |
異所性妊娠手術 | 10 | 27 | 18 | |
その他 | - | 2 | 8 | |
子宮鏡手術 | 子宮筋腫、子宮内膜ポリープ摘出術 | 22 | 31 | 34 |
開腹手術 | 子宮全摘術 | 58 | 49 | 59 |
子宮筋腫核出術 | 5 | 16 | 9 | |
卵巣、卵管腫瘍摘出術 | 19 | 7 | 5 | |
境界悪性、悪性腫瘍手術 | 14 | 9 | 6 | |
膣式手術 | 子宮頸部円錐切除術 | 50 | 50 | 32 |
骨盤臓器脱手術 | 3 | 12 | 2 | |
子宮筋腫、ポリープ摘出術 | 1 | 2 | 1 | |
外陰膿瘍手術、その他 | 2 | 4 | 8 | |
計 | 523 | 570 | 569 |
(件数)